車を買うとき、車両価格だけで決める人はあまりいません。
燃費、税金、車検、保険など、乗り続けるための費用まで含めて考えます。
ホームページも本来は同じです。
ところがWeb制作では、制作費の見積もりは何社も比較するのに、公開後にいくらかかるのかは、あまり検討されないまま契約されることがあります。
ホームページは、公開した日から費用が発生します。
サーバーやドメインの維持費だけではありません。
CMSを使えば、更新やバックアップ、セキュリティ対応などの保守費が発生することもあります。
そして、5年、10年と運用するなら、制作時の数十万円の差より、公開後に毎月いくらかかるかのほうが大きな差になることがあります。
この記事では、ホームページの公開後にかかる費用を「維持費」「保守費」「運用費」に分け、5年間の総コストとCMS選びの考え方を整理します。
ホームページの費用は「作って終わり」ではない
ホームページ制作では、どうしても最初の制作費に目が向きます。
「50万円と100万円なら、50万円のほうが安い」
もちろん、制作費だけを比較すればそうなります。
しかし、ホームページは一度作ったら終わりではありません。
5年間使うのであれば、制作費だけでなく、5年間にかかる総額で考える必要があります。
例えば、制作費が100万円でも、毎月3万円の保守費がかかれば、5年間の保守費だけで180万円です。
制作費と合わせれば280万円になります。
一方、制作費が120万円でも、保守費が毎月1万円なら、5年間の保守費は60万円。
合計180万円です。
制作時の20万円の差が、5年間では大きく逆転することがあります。
費用は「維持費・保守費・運用費」に分けて考える
ホームページを公開した後の費用は、性質の違う3つに分けると分かりやすくなります。
- 維持費 … サイトを公開し続けるための費用
- 保守費 … サイトを安全に動かし続けるための費用
- 運用費 … サイトを更新・改善して育てるための費用
この3つは似ていますが、意味はまったく違います。
維持費
サーバーやドメインなど、サイトを公開するために必要になる費用です。
保守費
CMSの更新、バックアップ、障害対応、セキュリティ対応など、サイトを安定して運用するための費用です。
運用費
記事の追加、画像制作、SEO、アクセス解析、改善など、サイトを育てるための費用です。
「毎月1万円」という金額だけでは、何に1万円払っているのか分かりません。
だからこそ、月額料金ではなく、その中身を見る必要があります。
維持費はどれくらいかかる?
維持費として代表的なのが、サーバー代とドメイン代です。
一般的な中小企業のホームページであれば、共用サーバーを利用することで比較的低コストに運用できます。
サーバーの料金はサービスや契約プランによって異なりますが、月額数百円から数千円程度のものがあります。
ドメインも年間数千円程度から利用できるものがあります。
また、現在は無料のSSLを利用できるサービスも普及しています。
そのため、サーバー・ドメイン・SSLだけで毎月高額な費用が必要になるとは限りません。
もし見積もりに高額な「サーバー管理費」などが含まれている場合は、具体的に何をしている費用なのか確認してみましょう。
保守費は「何をしてくれるのか」が重要
ホームページの維持費と比べて、金額差が大きくなりやすいのが保守費です。
保守契約の内容は制作会社によって大きく異なります。
サーバーの管理だけを行う会社もあれば、CMSの更新、バックアップ、障害対応、軽微な修正まで含める会社もあります。
そのため、「月額1万円だから安い」「月額3万円だから高い」と金額だけで判断することはできません。
重要なのは、その料金で何をしてくれるのかです。
保守契約で確認したい5つの項目
- 更新作業は何回まで含まれるか
「軽微な修正」という表現だけでは分かりません。
文章の変更、画像の差し替え、ページ追加など、どこまで含まれるのか確認しましょう。
- バックアップは取られるか
バックアップの有無だけでなく、何世代保存するのか、障害が発生した場合に復元まで対応してくれるのかも確認します。
- CMSの更新は含まれるか
WordPressなどのCMSを利用している場合、本体だけでなくテーマやプラグインの更新が必要になることがあります。
更新後の表示確認まで含まれるのかも重要です。
- 障害が発生したときの対応時間
平日だけなのか、土日も対応するのか。
サイトが停止した場合に、いつから対応してもらえるのかを確認しておきましょう。
- 解約時にデータを持ち出せるか
意外と見落とされるポイントです。
契約終了後にWebサイトのデータや画像、データベースなどを受け取れるのか確認しておきましょう。
「月額が安い」だけでは判断できない
月額料金が安いこと自体は悪いことではありません。
例えば、静的なHTMLで構築され、ほとんど更新しないサイトなら、高額なCMS保守が必要ないケースもあります。
逆に、CMSを利用しているにもかかわらず、CMSの更新やバックアップなどが保守契約に含まれていなければ、料金が安くても安心とは限りません。
重要なのは、「安いかどうか」ではなく「必要な作業が含まれているか」です。
明細のない「ホームページ保守 月額○万円」という見積もりでは、他社との比較もできません。
5年間の総額で考えてみる
ここで、実際に5年間の費用を計算してみます。
制作費を100万円と仮定します。
保守費が月1万円の場合
- 1年間:12万円
- 5年間:60万円
- 制作費と合わせた5年間の総額:160万円
保守費が月3万円の場合
- 1年間:36万円
- 5年間:180万円
- 制作費と合わせた5年間の総額:280万円
ここにサーバー代やドメイン代、追加の更新作業などが加わる場合もあります。
つまり、制作費だけを比較しても、5年間の本当のコストは分かりません。
制作費が20万円安い会社を選んでも、毎月の保守費が1万円高ければ、5年後には60万円の差になります。
制作費だけを比較するのは、車の車両価格だけを比較するようなものです。
CMS選びは「車選び」と同じ
ここからが、ホームページを作る前に考えてほしいポイントです。
最近はWordPressをはじめ、さまざまなCMSが存在します。
新しいCMSが登場すれば、「こっちのほうが最新」「こっちのほうが簡単」と話題になることもあります。
しかし、高機能なCMSを選べばいいわけではありません。
車と同じです。
雪がほとんど降らない地域で、山道も走らないのであれば、燃費の悪い4WDではなく2WDで十分だと考える人もいるでしょう。
4WDが悪いわけではありません。
必要な人にとっては非常に価値のある機能です。
しかし、使わない機能のために高い維持費を払い続ける必要があるのかは、別の問題です。
「高機能」と「自分のサイトに必要」は別
CMSも同じです。
「AIと連携できる」
「プラグインが豊富」
「高機能な管理画面がある」
「最新の技術を使っている」
これらは確かに魅力的です。
しかし、その機能を自分のサイトで使わないのであれば、必ずしも必要ではありません。
例えば、数ページの会社案内を掲載するだけで、ほとんど更新しないサイトなら、複雑なCMSを導入する必要がない場合もあります。
一方で、毎日記事を追加したり、複数人で更新したり、会員機能やECなどを利用するサイトなら、CMSが大きな価値を持ちます。
サイトの目的によって、必要な仕組みは変わります。
「WordPressか、別のCMSか」ではなく、何を更新するのか
CMS選びで最初に考えたいのは、「どのCMSが一番優れているか」ではありません。
「このサイトでは、何を更新するのか?」
ここを決めることです。
例えば、
- 会社情報だけを更新する
- ブログを頻繁に更新する
- 複数人で記事を管理する
- 商品情報を大量に管理する
- 会員情報を管理する
- Webサイト以外にもコンテンツを配信する
目的が違えば、必要なCMSも変わります。
だから、WordPressだから良い、WordPressだから悪いという話ではありません。
新しいCMSだから良いという話でもありません。
自分のサイトに必要な仕組みを選ぶことが重要です。
公開後のコストまで考えてからCMSを選ぶ
CMSは、サイトを作るときだけ使うものではありません。
公開した後も何年も使い続けます。
その間に、
- CMSの更新
- プラグインやテーマの更新
- バックアップ
- セキュリティ対応
- 障害対応
- サイトの改修
- 担当者の変更
- サイトの移転
などが発生する可能性があります。
だからこそ、CMSを選ぶときには「作れるか」だけでなく「5年後、10年後も運用できるか」まで考える必要があります。
「試乗したら良かった」だけで選ばない
新しいCMSを触ってみることは悪いことではありません。
むしろ、新しい技術を試すことは重要です。
ただし、試してみて使いやすかったことと、自分のサイトに採用することは別の話です。
車も、試乗すれば乗り心地は分かります。
しかし、試乗しただけでは10年間乗ったときの燃料代や税金、車検、保険、修理費までは分かりません。
CMSも同じです。
実際に触って「すごい」と感じても、公開後にどれだけ時間とお金がかかるのかは別に考える必要があります。
「試乗したら良かった」だけで乗り換えるのではなく、「このサイトを5年、10年運用したらどうなるか」まで考える。
ホームページ制作は「初期費用」だけで決めない
ホームページの費用は、制作会社に支払う制作費だけではありません。
公開後にも維持費、保守費、運用費が発生します。
だから、見積もりを比較するときは、
- 初期費用はいくらか
- 月額はいくらか
- 月額には何が含まれるか
- 追加作業はいくらか
- CMSの更新は誰が行うか
- バックアップと復旧はどうなっているか
- 解約した場合にデータを持ち出せるか
ここまで確認してください。
そして、できれば1年ではなく5年程度の総額で比較してみることをおすすめします。
まとめ
ホームページは、公開した日から費用が始まります。
サーバーやドメインなどの維持費。
CMSの更新やバックアップなどの保守費。
記事制作やSEOなどの運用費。
これらを分けて考えることで、本当の運用コストが見えてきます。
そしてCMSを選ぶときに大切なのは、「どのCMSが一番すごいか」ではありません。
「このサイトには何が必要なのか?」
「何を更新するのか?」
「5年、10年後も無理なく運用できるのか?」
ここから逆算して考えることです。
高機能な4WDが必要な人もいれば、2WDで十分な人もいます。
CMSも同じです。
高機能だから良いのではなく、自分のサイトに必要な機能があることが大切です。
試乗しただけでは、10年乗ったときの維持費は分かりません。
Webサイトも同じです。
「いくらで作れるか」ではなく、「5年、10年使ったらいくらかかるのか」。
ホームページを作る前に、ぜひここまで考えてみてください。
制作費そのものの見方はホームページ制作の費用相場が分からない方へにまとめています。
CMSが本当に必要なのかについてはCMSは本当に必要か、WordPressを含めたCMS選びについてはWordPressをやめるべきかも参考にしてください。