ホームページ制作を3社に見積もりしたら、30万円、120万円、400万円と返ってきた。
「同じホームページなのに、なぜこんなに違うの?」
こう感じるのは、珍しいことではありません。
ただ、これは必ずしも制作会社の値付けがバラバラだからではありません。
多くの場合、3社が見ている「仕事の範囲」が違います。
同じ「ホームページ制作」という言葉でも、ある会社はデザインとコーディングだけを想定し、別の会社は企画、構成、原稿、写真、実装、公開後の運用まで含めて考えているかもしれません。
つまり、金額だけを並べても比較できないのです。
この記事では、ホームページ制作の見積もりに差が生まれる4つのポイントと、見積書を受け取ったときに確認したい項目を整理します。
「一番安い会社を選ぶ」のではなく、自社に必要な作業がどこまで含まれているのかを見るための判断材料としてお使いください。
ホームページ制作の見積もりに差が生まれる4つのポイント
1-1. 作業範囲
見積もりの差が最も大きくなりやすいのが、作業範囲です。
例えば「10ページのホームページを作りたい」と伝えた場合でも、会社によって含まれる作業は違います。
ある会社は、10ページ分のデザインとコーディングだけを見積もるかもしれません。
一方で別の会社は、打ち合わせ、サイト構成の設計、原稿作成、写真撮影、デザイン、実装、公開作業、公開後の修正まで含めて提案するかもしれません。
後者の方が高くなるのは当然です。
作っているものが同じでも、担当している仕事の量が違うからです。
特に見落とされやすいのが原稿です。
「文章はこちらで用意します」と発注したものの、実際には原稿が書けず、制作が数ヶ月止まってしまうケースもあります。
原稿を誰が作るのかは、費用だけでなく納期にも直結します。
見積もりを見るときは「10ページでいくら」だけではなく、その10ページを完成させるために、誰が何をするのかまで確認してください。
1-2. デザインの作り方
「デザイン費」と書かれていても、実際にどのような方法でデザインするのかは会社によって違います。
| 作り方 | 費用感 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 既存テンプレートを使う | 低め | 予算を抑えて早く公開したい |
| テンプレートを土台に調整する | 中間 | コストと独自性を両立したい |
| デザインをゼロから設計する | 高め | ブランドや事業内容を独自に表現したい |
もちろん、どの方法が正解というわけではありません。
重要なのは、見積書の「デザイン一式」という言葉だけでは判断できないことです。
「既存テンプレートを使うのか」
「どこまで独自に設計するのか」
「スマートフォン版も含まれるのか」
「デザイン修正は何回までなのか」
このあたりを確認すると、金額の違いがかなり見えてきます。
1-3. 更新する仕組みを入れるかどうか
「公開後、自分でページを更新したい」という場合は、CMSなどの更新機能を組み込むことになります。
これも制作費が変わる大きなポイントです。
ただし、「ホームページにはCMSを入れておけば安心」というわけではありません。
例えば、更新するのが年に数回しかないのであれば、制作会社に都度依頼した方が、結果的に管理の手間や費用を抑えられる場合もあります。
反対に、毎週のように情報を追加する会社なら、自分たちで更新できる仕組みを用意した方が合理的です。
CMSは「とりあえず入れるもの」ではなく、誰が、どのくらいの頻度で、何を更新するのかから決めるものです。
CMSの種類だけを見るのではなく、運用方法まで含めて考えると判断しやすくなります。
CMSの仕組みや種類については、CMSとは?初心者向けに仕組みとWordPress・Drupalの違いを解説で詳しく説明しています。
1-4. 公開後の体制
最初の見積もりでは分かりにくく、後から差が出やすいのが公開後の対応です。
例えば、次のような作業があります。
サーバーやドメインの管理。
CMSやプラグインの更新。
障害が発生したときの対応。
ページの修正。
画像や文章の差し替え。
これらが月額費用に含まれているのか、都度請求なのか、そもそも対応していないのかによって、実際にかかる費用は変わります。
初期費用が安くても、公開後の作業がすべて別料金なら、数年単位で見ると総額が大きくなることがあります。
反対に、初期費用や月額費用が高く見えても、必要な保守や更新作業まで含まれているなら、単純に「高い」とは言えません。
ホームページは公開したら終わりではありません。
何年間使うのかまで考えて比較することが重要です。
公開後にかかる費用の内訳は、ホームページは公開してからいくらかかる?|5年間の維持費・保守費とCMS選びで試算しています。
見積書で確認したい6項目
見積書を比較するときは、金額の大小だけを見るのではなく、何が含まれていて、何が含まれていないのかを確認してください。
| 確認する項目 | 確認する質問 |
|---|---|
| 原稿と写真 | 「文章と写真は、どちらが用意しますか?」 |
| デザインの作り方 | 「テンプレートですか?それとも独自設計ですか?」 |
| 修正回数 | 「修正回数に上限はありますか?超えた場合はいくらですか?」 |
| 公開後の対応 | 「公開後に文章を1行修正したい場合、どうなりますか?」 |
| 月額費用の内容 | 「保守費には何が含まれ、何が別料金ですか?」 |
| データと移行 | 「将来、別の会社に変更する場合、データを引き渡してもらえますか?」 |
特に最後の「データと移行」は、契約前に確認しておくことをおすすめします。
制作会社独自のシステムや独自CMSなどを使っている場合、他社への移行が難しくなることがあります。
今は問題なくても、担当者が変わったり、制作会社を変更したり、会社自体がサービスを終了したりする可能性はあります。
「この会社に頼み続けること」を前提にした構成なのか、「将来ほかの会社にも引き継げる」構成なのか。
ここは制作費だけでは判断できません。
安い見積もりには「安い理由」がある
安い見積もりには、多くの場合、安くできる理由があります。
ただし、それ自体は悪いことではありません。
例えば、テンプレートを使い、原稿は発注側が用意し、公開後の更新も基本的には発注側で行う。
この条件なら、制作費を抑えることは十分可能です。
問題なのは、その前提が発注者と制作会社で共有されていないことです。
発注者は「全部お任せ」のつもり。
制作会社は「原稿は支給される」つもり。
発注者は「公開後も少しずつ修正してもらえる」と思っている。
制作会社は「納品したら終了」と考えている。
この認識のズレが、追加費用や納期遅延、不満につながります。
私は制作会社を7年運営し、その前は大企業で発注する側にもいました。
両方の立場を経験して感じるのは、Web制作のトラブルは、技術的な問題よりも最初の前提条件のズレから生まれることが多いということです。
相見積もりを取るときのコツ
複数の制作会社から見積もりを取るなら、できるだけ同じ条件を渡してください。
これだけで、見積もりを比較しやすくなります。
伝えておきたいのは、次のような情報です。
何のためのホームページなのか。
集客、問い合わせ、採用、会社案内、信用の証明など。
どのくらいの規模なのか。
ページ数の目安や、必要な機能など。
原稿と写真を誰が用意するのか。
公開後、自分たちで更新したいのか。
いつまでに公開したいのか。
予算感はいくらなのか。
「予算を伝えると、予算いっぱいまで請求されそう」と考える方もいます。
もちろん、予算の伝え方には注意が必要です。
ただ、制作会社からすると予算感が分からない状態では、どこまで提案すべきか判断しにくいのも事実です。
例えば「できるだけ安く」だけでは、制作会社は最低限の提案をするのか、将来を見据えた提案をするのか判断できません。
「予算は○○万円程度を想定しています。その範囲で何ができますか?」と伝えれば、予算に合わせた提案を受けられる可能性があります。
相見積もりは、単に安い会社を探すためではありません。
同じ条件で、各社がどのような考え方をするのかを見るためのものでもあります。
見積もりを取る前に、社内で決めておきたいこと
実は、制作会社に見積もりを依頼する前に決めておいた方がいいことがあります。
誰が制作会社との窓口になるのか
担当者が複数いて、それぞれ違う指示を出すと、修正が増えます。
「Aさんからはこう言われたけど、Bさんからは違う指示が来た」という状態になると、制作会社側も判断できません。
できれば社内の窓口を1人決め、社内で意見をまとめてから制作会社に伝える方がスムーズです。
公開後、誰が更新するのか
更新担当者が決まっていないと、そもそもCMSが必要なのか判断できません。
「誰でも更新できるようにしたい」と言っても、実際に更新する人が決まっていなければ、使われない機能に費用をかけることになります。
このホームページで何が起きたら成功なのか
「ホームページを作ること」自体を目的にすると、公開した時点でゴールになってしまいます。
問い合わせを増やしたいのか。
採用応募を増やしたいのか。
営業先に会社を知ってもらいたいのか。
名刺代わりに見せられるサイトがほしいのか。
目的によって、必要なページも、構成も、予算のかけ方も変わります。
何を作るかより先に、何のために作るのかを決める。
これだけでも、制作会社から出てくる提案はかなり変わります。
制作会社に依頼する前に決めておくことは、Web制作でデザインを決める前に決めておくこと6つ|CMS・HTML・CSS設計にもまとめています。
まとめ|見積もりは金額ではなく「条件」を比較する
ホームページ制作の見積もりは、金額だけを比較しても意味がありません。
30万円と120万円と400万円という3つの見積もりがあったとしても、それぞれに含まれている仕事が違えば、単純に高い・安いとは判断できないからです。
見積もりの差は、主に次の4つから生まれます。
1. 作業範囲
2. デザインの作り方
3. 更新する仕組みを入れるかどうか
4. 公開後の体制
そして、見積書を見るときに重要なのは、書かれている金額だけではありません。
「何が含まれていないのか」を確認することです。
原稿は誰が作るのか。
修正は何回までなのか。
公開後はどこまで対応してもらえるのか。
月額費用には何が含まれるのか。
将来、他社へ移行できるのか。
ここまで確認すれば、単純な金額比較から一歩進んで、「自社にとって適切な見積もりか」を判断できるようになります。
相見積もりを取る場合も、各社にできるだけ同じ条件を伝えてください。
見積もりの金額が違うこと自体は、問題ではありません。
なぜ違うのかを説明できる見積もりになっているか。
そこを見ることが、制作会社選びでは重要だと考えています。
手元に複数の見積書があり、「どこを比較すればいいのか分からない」という場合は、金額だけではなく、作業範囲や公開後の対応まで並べてみると違いが見えてきます。