WordPressを辞めたほうがいいのだろうか?
そう考えて、ヘッドレスCMSを調べ、静的サイトジェネレーターを調べ、AIでページを作る方法を調べ、結局どれも決めきれずに時間だけが過ぎている。
そういう状態の方は少なくないと思います。
先に結論を書きます。
迷っている段階なら、今は動かないほうがいいというのが私の考えです。
ただし「そのままでいい」という意味ではありません。
動く前に、やることがあるという意味です。
迷いが終わらない理由
選択肢を比べても決まらないのは、比べ方の問題ではありません。
比べる基準がないまま比べているからです。
WordPress、ヘッドレスCMS、静的サイト、AIで生成したページ。
どれも一長一短があり、それぞれに「これがいい」と勧める記事があります。
読むほど決まらなくなるのは当然です。
基準は道具の側にはありません。
自分の側にあります。
今のサイトの何が不満なのか。
それが言葉になっていないと、何を選んでも「これでよかったのか」が残ります。
まず、不満を一つに絞る
紙に書き出してみてください。今のサイトで、具体的に何が嫌なのか。
だいたい次のどれかに収まります。
- 表示が遅い
- 管理やアップデートが面倒
- 費用がかかりすぎている
- やりたいことができない
- なんとなく古い気がする
ここで重要なのは、最後の「なんとなく」を選んだ場合です。
それは移行の理由になりません。
作り直しても、同じ「なんとなく」が半年後にまた来ます。
以下、上から順に見ていきます。
ほとんどの場合、移行せずに解決します。
「遅い」は、たいてい移行しなくても直る
表示速度の不満は、原因がほぼ特定できます。
- 画像が最適化されていない(撮ったままの大きな画像を載せている)
- プラグインが多すぎる
- ページビルダーが冗長なコードを出力している
- サーバーの性能が足りていない
このうち画像とプラグインだけで、体感の大半が決まります。
画像を圧縮して、使っていないプラグインを外す。
これで解決する例は非常に多いです。
それをやらずに静的サイトへ移行すると、たしかに速くなります。
ただ原因を取り除いたわけではないので、同じことを繰り返します。
新しい環境でも、大きな画像を載せれば遅くなります。
「管理が面倒」の原因は、道具ではない
アップデートのたびに不安になる。表示が崩れないか確認するのが手間。この負担は本物です。
ただ、原因を分解すると次のようになります。
- プラグインが多い … 更新のたびに相性を確認する対象が増えます
- 置き場所が整理されていない … 何がどこにあるか分からないと、確認に時間がかかります
- 戻し方が決まっていない … バックアップから復元する手順が確立していないと、毎回が綱渡りになります
この3つは、どのCMSに移っても付いてきます。
静的サイトにすればアップデート作業はなくなりますが、今度は生成と公開の手順を自分で管理することになります。
負担がゼロになる選択肢はありません。
負担の種類が変わるだけです。
「AIで静的ページを作る」の実際
最近よく検討されるのがこれです。
AIにHTMLを書かせて、サーバーに置く。
CMSが要らないので速く、安全で、保守も軽くなります。
この方向自体は間違っていません。
更新頻度が低いサイトなら、有力な選択肢です。
ただ、検討する前に確認しておきたい点があります。
更新のたびに、誰かが作業します
記事を1本追加するたびに、生成して、確認して、アップロードする。
この流れを毎回踏むことになります。
月に1本なら問題ありません。
週に何本も出すなら、管理画面から投稿するほうが確実に速いです。
ページが増えると、管理が破綻します
10ページなら手作業で足ります。
100ページになると話が変わります。
共通部分を直したいとき、100枚のファイルを直すことになります。
カテゴリを追加したいとき、一覧ページを手で作り直すことになります。
この作業を自動化する仕組みが、そもそもCMSです。
作った後のことが残ります
AIが生成するのはページの中身です。
ドメインの設定、サーバーへの配置、フォームの受信、公開後の修正。
これらは別途必要になります。
「AIで作れる」と「AIで運用できる」は別
AIはHTMLを書くことはできます。
しかし、サイトには「作った後」があります。
- ページを追加する。
- 共通部分を変更する。
- URLを変更する。
- リダイレクトを設定する。
- フォームを修正する。
- サイトマップを更新する。
- 構造化データを変更する。
こうした作業まで考えると、単純に「AIでHTMLを作ればCMSはいらない」とは言えません。
移行して失うもの
もう一つ、見落とされがちな点があります。
サイトを作り直すと、URLが変わる可能性があります。
URLが変われば、それまで検索エンジンが蓄積してきた評価は引き継がれません。
転送設定で軽減はできますが、完全には戻りません。
何年もかけて検索から人が来るようになったサイトなら、これは相当な損失です。
速度を上げるために、集客を落とすことになりかねません。
移行を検討するときは、この点を必ず計算に入れてください。
構造とURLの考え方についてはサイト設計とSEO・AEO|検索とAIの両方に見つけてもらう構造の作り方にまとめています。
それでも移行したほうがいい場合
ここまで止める話ばかり書きましたが、移行が正解の場合もあります。
次のいずれかに当てはまるなら、検討する価値があります。
- 実際に更新していない … 年に数回しか触っていないなら、CMSを持ち続ける理由は薄いです
- やりたいことが構造的にできない … プラグインを組み合わせても実現できない要件があるなら、道具が合っていません
- すでに手を尽くした … 画像もプラグインも整理して、それでも遅いなら原因は別にあります
- 作り直す予定がある … どうせ全面的に作り替えるなら、そのタイミングで構成を見直すのが合理的です
共通しているのは、不満が具体的であることです。
「なんとなく古い」ではなく「これができない」と言えるなら、動く根拠があります。
まとめ
迷走が終わらないのは、情報が足りないからではありません。
判断の基準が自分の中にないからです。
やることは3つです。
- 今のサイトの不満を、具体的に一つ書き出す
- その不満が、移行しなくても解決するか確認する
- 解決しないと分かってから、選択肢を比べる
この順番なら、比べる対象は自然に絞られます。
逆に、1と2を飛ばして3から始めると、いつまでも決まりません。
そして多くの場合、1と2の時点で終わります。
画像を軽くして、使っていないプラグインを外して、置き場所を整理する。
それで不満が消えるなら、移行は必要ありませんでした。
道具を替えるのは、最後の手段です。
先にやることが、まだ残っているかもしれません。
ご自身の状況で判断がつかないようでしたら、現状をお聞かせください。
移行すべきかどうかも含めて、一緒に整理します。