ホームページを作り直すとき、多くの会社が「デザイン」から話を始めます。
ですが、公開してから半年、一年と経ったときに効いてくるのは、デザインではなくサイト設計のほうです。
ホームページを作り直すとき、多くの会社は「どんなデザインにするか」から話を始めます。
しかし、本当に最初に決めるべきなのは、デザインではありません。
「このサイトには、何の情報を、どこに置くのか」です。
これがサイト設計です。
どのページを作るのか。
どのページを親にするのか。
どの情報を独立したページにするのか。
どの記事とどの記事をつなぐのか。
そして、会社・サービス・著者・記事といった情報を、どう関係づけるのか。
公開した直後は、ここに違いがあるようには見えません。
しかし半年、一年と運用すると、大きな差になります。
さらに現在は、人間だけでなく検索エンジンやAIも、このサイトの構造を読み取ります。
だからサイト設計は、単なる「ページの並べ方」ではなくなっています。
サイト設計とは、どのページを、どの階層に、どういう名前で置くかを決める作業のことです。
地味で見た目に何も残りません。
それでも最初に決めておかないと、後から直すのが非常に高くつきます。
そして2025年以降、この設計に新しい役割が加わりました。
検索エンジンだけでなく、AIに読まれ、引用されるための構造が必要になったことです。
この記事では、その両方をふまえた設計の考え方をまとめます。
サイト設計とは「情報の置き場所を決めること」
サイト設計を難しく考える必要はありません。
やっていることは、書類棚の整理とほとんど同じです。
どんな引き出しを用意するか。
どの書類をどの引き出しに入れるか。
引き出しにどんなラベルを貼るか。
この3つを決めるだけです。
整理された棚は、自分も探しやすく、他人にも説明しやすくなります。
Webサイトも同じで、整理された構造は次の3者にとって扱いやすくなります。
- 訪問者が、目的のページにたどり着ける
- 検索エンジンが、サイト全体を巡回して内容を把握できる
- AIが、どのページに何が書いてあるかを判断できる
逆に、整理されていないサイトは、この3者すべてに対して不利になります。
「なんとなく作ってきたページの寄せ集め」は、誰にとっても読み解きにくいのです。
なぜ今、SEOに加えてAEOなのか
SEOは、検索結果の一覧で上位に出るための取り組みです。
これに対してAEO(Answer Engine Optimization/回答エンジン最適化)は、AIや回答エンジンが質問に答える際に、自社の情報を正しく理解・参照しやすくするための取り組みという意味で使います。
この違いが実務上の意味を持ち始めたのは、検索の使われ方が変わったからです。
検索結果を見ずに帰る人が増えた
Googleの検索結果の最上部には、AIがまとめた回答が表示されるようになりました。
ChatGPTやPerplexityのように、そもそも検索結果の一覧を見せずに答えだけを返すサービスも普及しています。
この変化が意味するのは単純なことです。
検索順位で1位を取っても、その一覧自体が見られなければ意味がないということです。
だからといってSEOが不要になったわけではありません。
AIが回答を組み立てるとき、参照元として使うのは検索でインデックスされたページです。
SEOはAEOの前提条件であり、置き換わる関係ではありません。
評価される単位が「ページ」から「一節」に変わった
より実務的な変化はこちらです。従来の検索では、ページ単位で順位がつきました。
AIの回答では、ページの中の特定の一段落だけが抜き出されて使われます。
つまり、ページ全体としては良い記事でも、質問に対する答えが文章の中に埋もれていると、引用先として選ばれにくくなります。
AIに理解・参照されやすいページを作るには?
実際にAIの回答で引用されているページを観察すると、いくつかの共通点があります。
問いと答えが対になっている
見出しが問いの形になっていて、その直後に答えが書かれている構造です。
たとえば「費用について」という見出しの下に背景説明が続き、5段落目にようやく金額が出てくる書き方は、AIにとって扱いにくい形です。
「ホームページ制作の費用相場は」という見出しの直後に「30万円から150万円が中心です」と書かれていれば、そのまま引用できます。
結論を先に書くことで、読者にも機械にも内容が把握しやすくなります。
一次情報が含まれている
他所の記事をまとめ直しただけの内容は、AIから見れば代わりがいくらでもあります。
逆に、その会社しか持っていない情報は代替できません。
- 実際に手を動かした結果と、そのときの数値
- 自社で取った統計や、顧客からよく受ける質問
- 失敗した経緯と、どう解決したか
手間はかかりますが、ここが一番効きます。
一般論はすでに世の中に飽和しています。
構造化データで内容が明示されている
構造化データとは、ページの内容を機械が読める形式で併記しておく仕組みです。
「これは記事です」「著者はこの人です」「この会社の所在地はここです」といった情報を、決められた書式で埋め込みます。
ここは正直に書いておきます。
構造化データを入れればAIに引用される、という因果関係は公式には示されていません。
あくまで、内容を誤解されにくくするための土台です。
ただ、書いてあることを機械に正しく伝えるコストは低く、間違って解釈されるリスクは下げられます。
やらない理由が特に見当たらない、という位置づけです。
階層は浅く、ただし分類は明確に
設計の実務で最初に決めるのが階層構造です。
原則は「浅く」ですが、これには理由があります。
トップページから4回も5回もクリックしないとたどり着けないページは、訪問者に見つけてもらえません。
検索エンジンの巡回も後回しになります。
重要なのは、すべてのページを無理に浅くすることではありません。
目的のページまでの経路が分かりやすく、関連するページ同士が適切につながっていることです。
一方で、浅くすることだけを優先して分類をやめてしまうと、今度は別の問題が起きます。
階層を浅くすることだけを目的にすると、今度は分類が崩れます。
同じ階層に30個のページが並んでいる状態は、フォルダを作らずにデスクトップへ全ファイルを置いているのと同じです。
業種による違い
実際の構造は、サイトの目的によって変わります。
コーポレートサイトの場合、階層はほとんど深くなりません。
会社概要、事業内容、実績、お知らせ、採用、問い合わせ。
これらをトップページの直下に並べれば、たいてい足ります。
ここで大事なのは階層より、会社概要ページの情報密度です。
所在地、設立年、代表者名、事業内容。
AIが会社について答えるとき、参照するのはこのページです。
サービス紹介サイトでは、サービスごとに独立したページを作るかどうかが分かれ目になります。
1ページにすべてのサービスを詰め込むと、どのサービスについても中途半端な情報しか載せられません。
検索される言葉が違うなら、ページを分けます。
ECサイトでは、商品カテゴリの切り方がそのまま売上に影響します。
社内の管理都合ではなく、お客さんが商品を探すときの言葉でカテゴリを作ってください。
この2つは、しばしば一致しません。
設計でよく起きる失敗
制作の現場で繰り返し見てきた失敗を挙げます。
どれも公開直後は問題になりませんが、後から効いてきます。
- URLに意味がない
/page01.htmlのような機械的な名前は、人にもAIにも中身が伝わりません。/service/website/のように、内容が読み取れる形にします。
- 後から増やす想定がない
最初は5ページで足りても、2年後には30ページになります。
後から増やす想定がない
最初は5ページで足りても、2年後には30ページになることがあります。
後からURL構造を変更すると、リダイレクトや内部リンクの修正など、移行作業が発生します。
- 同じ内容のページが複数ある
似た内容のページを分けて作ると、検索エンジンがどちらを評価すべきか判断できず、両方の評価が下がります。狙う言葉が同じなら、ページは1つにまとめます。
- 内部リンクがナビゲーションだけ
本文中から関連ページへリンクを張らないサイトは非常に多いです。ここは手作業ですが、巡回のしやすさにも、読者の回遊にも効きます。
- 作って終わりになっている
公開時点の設計が、3年後も最適である保証はありません。事業が変われば、置き場所も変わります。
実際に自社サイトでやったこと
ここからは一般論ではなく、金風株式会社のサイトで実際に行ったことを書きます。
私が重視したのは、「AIに評価してもらうための特別な仕掛け」ではありません。
会社として何者なのか。
誰が記事を書いているのか。
どの情報とどの情報が関係しているのか。
それを機械にも読み取れるように整理しただけです。
ここからは一般論ではなく、金風株式会社のサイトで実施した内容です。
コーポレートサイトとブログを用意し、次の順で手を入れました。
- 会社概要ページに、代表者・所在地・事業内容を構造化データとして記述
- ブログ記事に著者情報を明示し、会社概要側の記述と識別子で紐づけ
- 全ページにパンくずリストを設置し、これも構造化データとして出力
- 記事に目次を自動生成し、見出しの階層を機械が追える形に
- 関連記事を本文の下に自動表示し、内部リンクを増やす
特別なことは何もしていません。
やるべきとされていることを、省略せずに全部やっただけです。
結果
サイトとブログの公開から約10日後、「ホームページ作成 大治」という検索で、GoogleのAI概要に当社が最初に挙がりました。
表示された説明文は、会社概要ページに記述した内容とほぼ同じものでした。
この1件だけで因果関係を断定するつもりはありません。
競合が少ない地域名との組み合わせという条件もあります。
もちろん、この結果だけで「構造化データを入れたからAI概要に表示された」と断定することはできません。
検索クエリ、競合状況、ページ内容、クロールやインデックスの状況など、複数の要因が関係している可能性があります。
それでも、機械が読める形で書いた内容が、そのまま回答に使われたという事実は確認できました。
公開10日という速さも、意外な点でした。
ドメインの運用歴が長くなければ効かないという前提ではないようです。
このときの経緯と、AEOのために準備した内容はWebサイト立ち上げて10日でAI概要に表示された|AEOのために準備したことにまとめています。
制作会社に依頼するときの確認ポイント
ここが、この記事で一番お伝えしたい部分です。サイト設計は、依頼する側からは見えにくい工程です。だからこそ、見積もりの段階で確認しておく価値があります。
次の質問をしてみてください。
- サイトマップとワイヤーフレームは作ってもらえますか?
デザインの前にこの2つを作らない会社は、設計工程を省いている可能性があります。 - URLの構造はどう決めますか?
明確な方針が返ってくるかどうかで、経験値が分かります。 - 構造化データは入りますか?
これは含まれない見積もりも多い項目です。
含まれないこと自体は問題ではありません。
後から追加できるか、費用はいくらかを確認しておいてください。 - 公開後、ページを追加するときはどうなりますか?
追加のたびに費用が発生する契約なのか、自社で更新できるのか。
運用コストに直結します。
これらは専門知識がなくても聞ける質問です。
答え方を見れば、設計を考えている会社かどうかは、おおよそ判断できます。
見積書そのものの読み方については、ホームページ制作の見積もりで確認すべきことで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
まとめ
サイト設計は、公開した瞬間には成果が見えない工程です。
デザインのように「良くなった」と実感できるものでもありません。
それでも最初に手を抜くと、ページが増えたときに必ず跳ね返ってきます。
そして今は、その構造を読むのが人と検索エンジンだけでなく、AIも加わりました。
やることは変わりません。
どこに何があるかを明確にし、書いてある内容を機械にも伝わる形にしておく。
AEOという新しい言葉が出てきても、土台にあるのは同じ考え方です。
これから制作を検討される方は、デザインの打ち合わせに入る前に、まず構造の話ができているかを確認してみてください。そこが一番、後戻りしにくい部分です。